素潜り海女系です

本日も晴天。雲一つない青空がワイドレンズ風に広がる。今日は休日モードの日にしよっと...と思って、朝は家のソージに専念。キッチンと床面。ついでにキッチンと玄関のラグも洗濯。洗濯日和だもんなあ、この空。この日射し。それにしても、ソージとは不思議なものである。ガスコンロの上や冷蔵庫の扉、部屋の隅の埃などを拭く、洗う、吸い取るなどといった至極単純な身体運動によってリフレッシュするという、ただそれだけの行為なのだが、やり終わってみると、始める前と比べて、部屋の出しているオーラのようなものが全然違うもんね。空気も断然生き生きして来たし。部屋に入って来る光までも、さっきより透明感を増している。なんなのだろうなあ、不思議だ。単なる心理的な現象とも思われないのだが。これすなわちフースイの妙ということなのであろうか。

と、ソージによってやたら気分がクリアになったせいか、休日モードのつもりが午後になってついつい仕事をしてしまった。今週はかなりの時間数仕事をしている上に、先日自分自身で勝手に査定した時給が日本円で2500円($30)というV市ではあり得ないような高額であるため、私の雇用主である私自身がほとんど払えないくらいの高給取りになってしまっている。嬉しい悲鳴。

どっちみちバーチュアルな時給および給与なので、現実界における懐は全く潤わないのであるが、でも、なんか毎日仕事するのが楽しくなったなあ。それにしても、時給につられてやたらニヤニヤしながら仕事してるなんて、なんてえげつないんだろう。我ながら、あまりに小市民的なアイディアでちょっと恥ずかしい。でも、この「MY時給査定システム」は、自分が本日やっている作業が即収入につながらない人々にひょっとしたらおすすめできるシステムかもしれぬ。例えば子育て中の主婦とか、受験生とか、よくわからないが将来に向けてこつこつと何かの勉強をしているような人のモチベーションを上げるのに役立つ、かも。「今やってることって、一銭にもなんないんだよなあ...」と思っちゃうような魔の瞬間に、「いやいや、私は時給2,800円の仕事をしてるのよ、フフフ...」なんてほくそ笑んで、やる気を保つんである。まあ、そんなことしなくても毎日充実しているっていう人には大笑いされそうな話ですが。
新発明:『いい仕事してる自分への時給&未来への預金(全てバーチュアル)システム』。いかがでしょう。

今日も昨日に続き、サウンド仕事。ともあれ今ある機材で...ということで、オランダ語OSが乗ってる古いMacを稼働させてみた。音の作業は、やりはじめるまでやたら腰が重いんだけど、やりはじめると、ついつい楽しくて時間を忘れてやっちゃうのだ。古いバージョンのサウンド編集ソフトも意外とまだ使えるぞ。ふふふ。なんてあちゃこちゃやって、あっという間に3時間。今日はしばらくぶりなので、いろんなエフェクトで思いっきり遊びまくってしまった。あっちのパラメーターをちょっといじってみたり、こっちのスライダーをちびちび動かしたり。体全体が全部耳になるような感じで、無限に続く音の海の中にザボンと飛び込んで、泳ぐ、泳ぐ。どうやら普段使っていない脳の部分を使っているらしく、音の海からびしょぬれになってこの世界に上がって来ると、なんだか世界がさっきとは違って見えた。

V市の海は、夏でも結構水が冷たいので、本物の海の方では泳いでる人がそれほどいないんだけど(私は今まで一度も泳いだことありません)、この夏は、音の海の方で水遊び、遠泳、潮干狩り、シュノーケリング、そしてダイビングなどを堪能してみたくなった。まだ準備体操のやり方を思い出してる段階なんだけど、さ。音の海には、さ。たくさんいるんだよ、色とりどりの魚や珊瑚。それからもっとちっちゃいプランクトンやプクプク泡ブク。私よりもずっとでっかくて重い魚や、なんだかよく分からないような怪しい黒い影みたいなのも奥にいたりするの、さ。

そう。音の海は、深くて、透明で、どこまでもどこまでもデカくて得体が知れない。その無限の宇宙にキラキラした宝物がいっぱい隠れている。サウンド仕事はそれを一つずつ拾って集めるような作業で、根気がいる。ちょっと天候が変わったり、光の指し具合が変わると水中の世界が一変するように、エフェクターのスライダーをちょっと翳らせただけで、全く別のものが見えて来たりするので、時々「わぁ」なんて歓声を漏らしながら泳ぐの、さ。

サウンド仕事ってのは、海女みたいな仕事なのだな、きっと。もちろん、潜水ロボットなんかを緻密にデザインするようなところから始めて、ハイテクを駆使して音の海の中の音採集するタイプの人もいるのだけど、私はどっちかというと素潜り海女系の音採集家なので、体力と勘が勝負。結構バテます。筋肉痛も多し。まあ、この夏も溺れないように気をつけながら、キラキラした美味しい音を探してあちこち潜ってみます。ジャボン。

夜10時ごろ、薄暮の水辺を散歩。まだ地平線が明るい。本物の水辺の方もきらきらと光を映して、こちらも宝石系。うっかりすると永遠界に入ってしまいそうな、どこまでも透明な夏の宵です。