有楽町で迷子になる

ピヨコは朝も温泉。ガイドであることをほとんど忘れて「うふふっ。つるつる美肌のお湯っ」なんて言いながら朝湯にピヨピヨ浸かっている。息子もギリギリまで温泉。よしっ。温泉の楽しみ方が分かって来たようだな、息子よ...。

温泉を堪能した一行は、名残を惜しみながら高山を後に。電車の発車直前にアイスクリームをゲットするという曲芸を演じた息子。乳製品となると身の危険も元来の照れ性も乗り越えて、猪突猛進。とにかく手当たり次第に鷲掴みで買って来たらしく、「うへえ、抹茶だったか...」などと、バニラあるいはチョコを希望していた息子は吐息を漏らしたが、でもねえ。美味しいんですよ、抹茶でも。「抹茶と知らずに食べると、チョコレート味だもんね」とか訳のわからんことを言いながらペロペロ小さなスプーンでカップをほじくっている。ピヨコは乗車前に駅近くで入手しておいた焼きたてパンなどをとーちゃんかーちゃんに配布。何しろ旅館の朝食はド日本の朝食であるからして、がんばって食べたとはいえ、小麦分がほとんどない。米国人はどうやら小麦分焼き物系を定期的に食さないとエネルギーレベルがガクっと落ちるらしいということを旅行の最中に何度か目にしたので、すかさずここでブレッド成分の補給である。

車窓から見える緑が眩しい。温泉の入り過ぎで疲れたのか、鼻提灯で居眠りする息子。すかさず寝姿をカメラに納めるツアコン・ピヨコ。こういうのも旅の思い出だもんね。

夕方、東京に到着。本日の宿、銀座のホテルを後に山手線に乗って渋谷へ。

息子のリクエストで、渋谷駅前の交差点が見たいということで。

いや、週末ってこともあるが、いつものことながら蟻かなんかがワヤワヤと渡っているようであります。ハチ公前交差点。とーちゃんかーちゃんは、もうビックリ。その驚く人々を迷子にならないように監視しつつ、自分たちもその蟻の一匹になりながら交差点を通過。そして、そのままセンター街へ突入。すごい蟻の、いや、人の群れ群れ。

東急ハンズなんかをぐるっと巡り、渋谷で食事の後、宿に帰る一行。ホテルのもよりJR駅は有楽町なんだけど、あっ。しまった。ホテルの地図を持って来るの忘れたピヨコ。ここに来て、手落ちなピヨコめ。旅も終わりに近づいて、気が緩んだか。来る時はJRの駅まで地下鉄に乗ったので、道順がぜんぜん分かんない。うーむ、どうしよう。うろ覚えの住所を道路脇の地図で確認して進むが、どうもこれは、迷ったな。わかんないです。見覚えないです。ここはどこ、私はだあれ。

とーちゃんかーちゃんも息子も長旅で疲れている。ここで5分10分と、無闇に迷っている暇はない。タクシーに乗っちゃおうかとも思ったが、たぶん目的地は徒歩5分以内。どうしたものか。と、ここでピヨコはネコトラベルに調査を依頼。電話による誘導で道を教えてもらう。ありがとうネコトラベル。高山のハンバーガー屋に続き、ここでもピヨコトラベルの危機を救ってくれた。

それでも迷うこと10余分。ようやくホテルに到着。

息子は「初夏の風が気持ちのいい夜だし、迷うのも楽しかった」などと言ってくれたが、ピヨコの和毛は緊張で逆立っている。最後まで気を抜くなかれピヨコ。とーちゃんかーちゃん&息子を無事国に送り届けるまでは、がんばれピヨコ。ゴーゴーゴー。

それにしても、心地のよい夜。ピヨコの柔らかい毛も、本当はちょっと風と遊んでいた。