京都に完敗。そして仏仏仏との遭遇。

片泊まりの宿の、レトロモダンな朝食を楽しんだ一行。本日は寺社をいくつか攻略せねばならぬ。京都ですものね。とはいえ、京都は犬が歩くと鳥居か仏像に出会うという街である。どこから攻めたらいいのか。あづまピヨコとしてはよく分からぬのです、京の街の攻略法。しかもツウと言うよりは初心者なとーちゃんかーちゃん&息子連れ。どうしたものか。

と、やはりここはベタではあるが、近場ということもあり、清水寺から行ってみることにした。宿からは、祇園辺りを通って徒歩で行ける模様。いざ出陣!

大通りから一本入ると、小さな水が流れる川縁の路が愉しい。よくもこんな小路に入って来るなァと言う間もなく、やたらタクシーなどが通過するのであるが。朝食時のカフェオレも効いているのか、元気な3人。ピヨコもまだまだ威勢がよい。でもね、意外と遠いんだな、徒歩。疲れます、京歩き。八坂神社の脇を抜け、ちょっと行った辺りで早くも休憩。そこからだんだんと坂になる。むむむ。既にここまで歩く間に体力を消耗してしまっているので、(既に足が痛いです。膝が緩み始めてネジが抜けそう)かなりキツい。腰があまり丈夫でないかーちゃんが特に心配。と、ここでネコトラベルからSMS。清水を攻略するにはタクシーかなんかでガガっと乗り付けて、坂は帰り道に下るべし、とあり。遅かりし、ネコ。既に登り始めちゃってますピヨコ組。ネコのおすすめコースとは真逆の順序でここまで歩いて来ちゃいました。いかんな。

清水攻略には、特にとーちゃんかーちゃんなどが一緒の場合には、ともかく体力温存すべし、が今回学んだ教訓。坂きついです。階段どこまでも続きます。へとへと。

それにしても、多いなあ、修学旅行生。マスク姿で、清水界隈を埋め尽くしてます。そして記念撮影はVサイン。あっちでも、こっちでも。蟹の群れみたいです。お、買ってます八つ橋。群がってますお土産や。出た! 定番の木刀。買うのかな、今時の中学生も。

と、思っていたら、清水の境内でかーちゃんが中学生にわわわっと取り囲まれております。インタビューされてます。宿題みたいです英語の。一生懸命答えるかーちゃん。ピヨコがカメラを向けると、出ましたカニ...じゃなかったVサイン。女の子たちは全員Vサイン。男の子たちは恥ずかしそうにぼーっと突っ立ってます。その真ん中に笑顔でかーちゃん。

と、こっちでは息子が弁慶の錫杖を笑顔で持ち上げてます。おお。軽々。中学生男子が思わず「かるがるだぜ、すげえ」などと声を上げております。その周りにも修学旅行生がうじゃりうじゃり。

それにしても清水の舞台に辿り着く頃には、体力を完全に消耗してしまった一行。ピヨコの足もカクカクしてます。うーん、完敗。

ピヨコは本来ものすごく足が速いんだけど、今回の旅ではとーちゃんかーちゃんの速度に合わせているので、普段の1/10速くらいのスピードで歩いている様子。これが案外疲れるらしいのです。昨日あたりから、ピヨコの足はやたらガクガクガタガタ。腰痛なども出て来てます。どこが腰なんだ、ピヨコ。大丈夫なのか、ピヨコ。ピヨコ一匹ならばタッタカタートットコトーっと京の街の寺巡りハシゴ編などを繰り広げるのであろうけれど、うーん、一つの寺だけでこんなに時間がかかるとは。

清水を降りて、ちょこっと遅めのランチなどを食べ終わった頃にはもう午後も熟し始め、さあこれからどーするかってことになった。どーする、どこへいく、ピヨコ。実はネコトラベルが「あそこには絶対に行くように」と指示を出していたスポットあり。息子はあんまり乗り気でもなさそうだったが、ピヨコの判断でタクシーをつかまえて直行。「サウザンドアンドーワンブッダスタチュー」すなわち『三十三間堂』が次の目的地。

ネコトラベルのネコの推薦もそのはず。(ピヨコは二回目だったんだけど)、1001体の千手観音様のパワーはすごい。3名はさっきから度肝を抜かれて唖然としている。国宝重文目白押し。1001体の観音様だけではなく、風神・雷神+二十八部衆というのもものすごい見応えです、こちら。有無を言わさぬ力が空間に漲っている。かーちゃんは思わず「来て良かった」とカンドーの声を漏らす。とーちゃんはいつもの茶目っ気で「全部数えたけど1体少なかったぞ」などとジョーク。息子は英語の解説文を一つずつ丁寧に読んで仏像一体一体を舐めるように見ている。ありがとうネコトラベル。確かに京都に来てここを見ずしては。すばらしい仏像造形を十分に堪能。そして仏教空間のこの深みが、どうやら3人にも伝わったようである。

さて。午後もすっかり熟し。これからどーする。もう一つくらい寺を見れるのか...。どうする、ピヨコ、ガイドさんよぉ。ぬーん。本当は銀閣寺か龍安寺に行きたかったのだが、タクシー運転手情報によるとどっちも修復中で興醒めなんだそうだ。そこで悩んだ末のピヨコの判断で一行が向ったのはこちらも仏像で有名な『東寺』。こちらの仏像もものすごい迫力だった。立体曼荼羅だもの。建物の古さにも驚愕する3人。「えーっと、このお寺は796年に創建されて... 」などとパンフレットを見ながら説明するピヨコ。しかしかーちゃんには796年という年代がピンと来ない様子であった。アメリカの独立宣言が1776年。それより1000年近く前に既にこのお寺があったってことが、どうもイメージしにくいらしい。

五重塔の前で記念撮影。京都〜という雰囲気満点。小雨が降る中、庭園でも一枚。

と、本日の寺巡りはここでタイムアウト。一行はその夜、先斗町へと繰り出したらしい。いわゆる「川床」っていうやつである。その完璧なまでの風情の割にはリーズナブルなお店で、この上なく繊細な京野菜をあしらったイタリアンなどというものを食し、これ以上の満足満腹はあり得ないでしょうという、春の京都の宵。やや雨ではあるが、それもまた風情。

でもねえ。ピヨコはちょっと反省。京都は生半可な気持ちでは観光できませぬ。お寺リサーチが、まだまだ甘かった。あっと言う間に時間が過ぎ、思うように回れなかったなぁ。ぬーん、禅寺を見せてあげられなかったのが心残りだ。ぬーん。ぬーん。ぬーん。あらあら、ちょっとはリラックスしたら、ピヨコさん。ほらね、提灯の灯がくっきりと。そうだねえ。ぴよっ。しっとりといい宵だ。