平和の源はここにある

インフルエンザの話題で持ち切りの神戸で朝。昨日はマスクをかけていなかったホテルマンたちも、今日は全員マスク着用。緊張感が高まっている。このホテル、パティスリーが有名で、朝食ビュッフェにもケーキが出ることで有名らしい。とーちゃんかーちゃん&息子+ピヨコはさっきから座席とビュッフェの間を何往復もして、長い朝食を楽しんでいる。やはり神戸だと洋食、なのだが、パンやケーキの合間にみそ汁も飲んでいるピヨコ。ザ・日本鳥だな。とーちゃんは無類の甘い物好きらしく、もうさっきから何個ミニケーキを食べたことか。食べ放題飲み放題となると、がぜん目の色が変わる息子も、往復しつづけている。太るぞお。

ピーカンの晴天。ホテルは異人館が点在する北野のすぐ近くなので、新幹線までの時間、ぶらぶら散歩。欧米人に欧米人が住んでいた家を見せるというのもなんだか変なものだが、アメリカの駐在大使が住んでいたとかいう『萌黄の館』というのに入館。まあ米国人には普通の昔の家なワケだが、「全部の部屋に暖炉があるなあ」とか、なんとか言いながら、結構楽しんでいた模様。

それにしても、この界隈、小洒落たカフェ、可愛いお土産やなどが目白押し。ついかーちゃんもモダンな絵皿など購入。半額セール。安いっ。

そして、息子の方は何やら看板にすううううっと引き寄せられている。そして息子の顔には今までなかったような異様な笑みが。むむ? と見ると、看板についているのは子牛のキャラクター。そう、ここは六甲牧場ミルクを使ったソフトクリームスタンド...。さっき、あれほど朝食ビュッフェを食べまくったのに、まだ食べるのか息子。この息子、牛のマーク、ソフトクリームの形のした看板などに滅法弱い。これを見ると必ず一つ他食べずにはいられないらしい。しかしねえ。日本の観光地、10メートルおきくらいに牛&ソフトマーク出没しますぜ。お腹が出ますぜ、旦那。

さて、新神戸の駅に到着。マスク姿が目立つ。
とーちゃんかーちゃん&息子も思わずマスク着用。折角の旅にマスク着用とは気の毒なことであるが、背に腹は変えられず。とにかく成田から送り出すまで元気で無事に旅行を終えられることだけを祈るピヨコ。本日は移動日であるからして、余分な行動は避けてリラックス、とばかり、広島駅からは路面電車には乗らずにタクシーでホテルに移動。この旅行、4人で一台のタクシーに乗る&荷物たくさん、というシチュエーション上、タクシーの運転手さんがいい人だと助かるんだよなあ〜、とサングー事件の記憶も新しいピヨコは身を固くした。マスクで乗り込む一行。すると。

「広島観光ですか?」と開口一番フレンドリーな運転手さん。しかも、「ははは、それインフルエンザ対策ですか」と、敬遠されるかと思いきや「インフルなんてかかる時はかかりますからね〜」とか「インフルは湿気に弱いから雨の後はかかりませんよ」とかやたら達観している。さすが国際都市広島。マスクの外国人を敬遠するどころか笑い飛ばすこの度量。思わず「いやあ、広島は国際都市ですごいですよねえ。前に来た時も、街の人がみんな英語を話すので驚きました。運転手さんも、英語ペラペラですか?」などと調子に乗るピヨコ。すると「いやいや〜アイ スピークオンリー ジャパニーズですよ。ははははっ」って謙遜してるが、それが既に英語だってーの。

と、フレンドリーな運転手さんの豪快な笑いにより始まった広島滞在。夕食はぐるりっと周囲を徘徊してレストランを物色してみたのだが、結局ホテルの隣にある炉端焼きのお店にGO。これが、有機野菜地元食材などを焼いてくれる優れものの店。掘りごたつ式の部屋に通され、ワインだ地酒だと盛り上がるとーちゃんかーちゃん&息子。恐るべし日本の食の奥行き。ちょこっと入ったホテル隣りの店でこのクオリティー。しかも、あれこれ食べ尽くしたのに驚きの軽量会計。なんかよくわからない「トースト&ハニー」などというメニューもあって、そんなのまで食べ尽くした息子は、「えええええっ、本当にこの値段?」とまた泣きそうになっている。いきなり食で米国人を泣かせる広島。こんな平和な時間が永遠に続きますように。続くに違いない。続かせよう。そんな気持ちが腹の底から沸き上がって来る広島の夜であった。