『時差ボケ予防魔法の食事法 by ピヨコ』出版なるか?

ピヨコトラベル出動日が近づいている。さて、日本での過酷なスケジュールをこなし、機敏にチョコマカと動き回り、カンドーニッポンを隅々まで演出するには、時差ボケで今朝は眠いですぅなんて言ってらんない。日頃から夜更かし昼寝など、体内時計を崩すような生活には慣れているが、やっぱりいつも日本上陸からの数日間のピヨコはぼおおおっとしていることが多い。時差ボケ予防法には、出発前によく睡眠をとっておくとか、現地時間に少しでも近くなるように、西行きフライトでは遅寝遅起き、東行きフライトでは早寝早起きを事前にしておくとか、現地についたら、なるべく現地時間に合わせて、眠くても無理して起きている、などいろいろあるらしいのだが、風の噂に聞いたような聞かないような、ちょっと変わった方法を今回は試してみている。

数日前から日本時間に合わせて食事をする。というそれだけなんだけど。V市と日本の時差は16時間。仮に朝食を朝7時、ランチを正午、夕食を午後7時、とすると、V市時間では朝食-午後3時、ランチ-午後8時、夕食-午前3時となる。これをとにかく馬鹿真面目に守るという、ただそれだけ。と、書いている今は午後1時半。ああ、お腹が減って死にそうだ。眼が回る。地球が回る。でも今まだ睡眠中の時間なので、お腹にモノを入れてはいかん。あと数時間でやっとお目覚め(って、今も起きてるんだけど)、そして待ちに待った朝食! でも、そこで大食いしすぎてはならぬ。あくまでも朝食であるからして、シリアルかなんかを軽く食べておく。そして4時間後にランチ。夕暮れの中で食べるランチっつうのもなかなか乙な物ですよ、なんて思いつつ、これまたステーキフルコースなどの夕食めいたものは避け、あくまでもランチだ、ランチだ、ランチだ! と少しずつ体を暗示にかけていく。そしてベッドに入り、また夜中の2時3時にむっくり起き出して夕食。さすがにこれは辛い。夕食だからして、それなりの分量のものを食したいところだが、体はもう寝るモードなので、眠気と食欲減退と闘いながら、とにかく欠伸しながら義務的に食べる。お腹もあんまり空いてないし、食べたくないなあ〜などとぼおおっとした頭で思うのだが、今食べておかないと、次の食事は翌日の午後3時までおあずけ。と思うと、なんとなく食べる気が沸いて来る、ってこともないんだよなあ、げええーっ。

アホらしいなあ、こんなことをして本当に時差ボケ予防ができるのであろうか。とピヨコはまだ半信半疑である。ああーんっ。お腹空いたよお。食べたいよお。という以前に、今日は一日ぼおっとしていて頭も働かなければ、体もトロい。まるで時差ボケみたいだ...、え、ジサ...ボケ...。そうか! 食事時間を日本時間に合わせるというこの強引な予防策により、ピヨコは旅行の前から既に時差ボケ。居ながらにしてトリップ〜状態に陥っており、つまりこうやっておいてイザ日本に上陸した時には、V市ではヨレヨレにずれていた体内時計がピタっと現地時間にはまり、あら不思議、時差ボケなんて微塵も感じずにすっきりお目覚め、よく食うわ食うわ。その軽い身のこなし、シャープな頭脳。という時差ボケレス状態を実現し、ピヨコさんのガイドは世界一だわ〜、などと皆の賞賛を得ること間違いなし、だな。

さて、本当にそうなるのかどうかはお楽しみ。もしこれで時差ボケレスを実現したら、『時差ボケ予防魔法の食事法 by ピヨコ』などという旅行本を執筆し、時差ボケにこれまで苦しんでいたビジネスマン、おばちゃん旅行者、OLの二人組、新婚旅行のカップルなどにこの上なく重宝されることであろう。いやそれにしても、人体いや、ピヨ体実験、なかなかきついものあり。このキツさと、時差ボケのキツさとどっちを取るかってことだな。まあ、でも折角大枚を叩いて行く旅行であるからして、「ごらん、あれが二重橋」と言った瞬間の返事が鼾、思い出の中心がホテルのシーツの皺、などという事態は誰でも避けたいはずであり、日常の一日二日を犠牲にして非日常の一日の輝きを増す事ができるのであれば、良いのではないでしょうか、この対処法。

しかし、このように体を張って時差ボケと闘っても、今回の旅にはインフルエンザという釣り上がった黒グラサン掛けた強敵がまだそこに立ちはだかっている。悪いやつらだ。顔つき態度が最悪。そして、なんといってもこいつらは通常目に見えないヤツらであるから、始末が悪い。いっそ全身無菌スーツに身を包み、顔全面を覆う無菌マスクをすっぽり被って飛行機に搭乗してみるか。そんなのに隣に座られたんじゃあ、周りの乗客が落ち着かないだろうけど。そんなSFチックな、ウイルスの一匹も入り込めない100%重装備で望んでも、やっぱり隣近所にウイルス保持者が出た場合には、成田で捕縛されちゃうんだろうか。生空気は飛行機の中で全く吸ってません! とか仮面ライダーかハエ男のようなマスク&ゴーグルの奥から主張しても、駄目なんだろうか。もし成田で捕縛されて、10日間留め置かれることになったりしたら、音加庵日乗も更新できなくなっちゃうのだろうか(インターネット付きの部屋にして...せめて...)。ああ、もうそうなったら、小説か戯曲でも10日間で書いて、鬱憤を晴らすしかないだろうなあ。一人ずつ個室に入れられるらしいけど、ただ一人個室で10日間って、そんな体験人生にあんまりないものなあ。たまたま、ウイルスに感染したり、感染した人の近くにいたりしても、別に何か悪いことをしたわけじゃないんだから、待遇は良くして欲しいなあ。一言の文句すら出ないくらいのものすごいサービスで「成田での10日間は竜宮城のようだった」と皆が振返るくらいのゴージャスさでむしろ迎えて欲しいなあ。でないと、こんなにお腹を空かせて、禁欲の連続で時差ボケ対策にいそしんでる健気なピヨコが浮かばれませんもの。

ともあれ、今回の旅はピヨコトラベルにとっても、前代未聞の緊急事態、かも。しかし百戦錬磨のピヨコ。やってくれると思いますよ、今回も。いや、それにしてもお腹が空いて。今グーって言ったのピヨコのお腹じゃないの? さっきから和毛フワフワさせながらぼおおおっと中空見てるし。