すばらしき破綻

風刺というのは、高度な文化だ。
直接ではなく、間接である程に効き目がある。
間接には頭脳と技がいる。
時間もかかる。

この映画も随分と手が込んでいる。

時間にして3時間くらい。全く別の映画を5本くらい観たような妙な感覚を覚える。
一つの場所の話がちょっと形を成してくると、それが崩されて次へと流れてゆく。
全体としては破綻スレスレという危うい映画だけれど、面白い。
このくらい野心たっぷりの映画を撮る人は、今はたぶんとても少ない。
大失敗であっても、あっぱれ、というような、そういうとてつもない野望。

リスクもないけど魅力もない、小さくまとまっただけの映画が近頃やたらに多すぎて、
胸が詰まっていたのだけれど、
今日は久々に腹から笑えた。あっぱれ!