美しき間接法

三橋美智也の唄を聞いていて、
描かれているのが、私がどうしたのこうしたの、
彼氏がどうしたのこうしたの、
などという人間の中にごたごたしている気持ちのことではなくて、
とんびがくるりと回ったり、
城跡に松が生えてたり、
馬の大きな目だったり、
ということに今更ながらハっとした。

心はそのころ、風景を通して語られたんだなあ。
人はそのころ、景色の中にいたんだなあ。
自然の懐の中に人間がいた時代。
いっぱい、スキマが、あった時間。

人間の掌の上に自然があるのではなく。(あるいは、そのような間違った妄想を抱くことなく)

この間接法、いいな。
自分のことで悩むのでなくて、景色のことを考えてみたらよさそうだ。

リンゴ村から/夕焼けとんび/母恋吹雪

リンゴ村から/夕焼けとんび/母恋吹雪