地平線と石庭

トモダチに誘われて、冷たい夜の空気の中を、コンサートに出掛けた。
中国の楽器と洋楽器がミックスしたアンサンブル。いわゆるイースト・ミーツ・ウェストってやつだ。

超絶技巧続出で、なかなか楽しいコンサートだった。なぜか、どうしても目は中国の楽器の方にいってしまい、洋楽器の方が何をしてたのかはすごくがんばってた打楽器奏者さん以外はあまり記憶にないのだが。

琵琶、琴、篳篥、笙。日本の楽器のルーツが中国にあるってことがよくわかる。でも、中国の楽器は音が大きく出るように改良されたりしていて、日本に伝わったのとちょっと雰囲気が違っているのがほとんど。

大陸的な、情熱的な、エネルギー炸裂の音たち。どうしてか分からないけど、目をつぶると馬に乗って地平線の向うから駆けて来る人たちの姿が見える。

日本に伝わった楽器は、似てるけど、もっと静かで、ある意味もっと繊細。目をつぶると、たぶん小さな石庭かなんかが浮かんで来る。

それにしても、後ろで鼻水を啜りまくってる子供には参った。
座席を思いっきりキックし続けるしさ。
私は子供の頃に、コンサートに行ったら絶対静寂を守らない限り、
叩き出されるという徹底した教育を受けたので、
むずかりまくって、おしゃべりなんかしちゃって楽しそうな子供達を見て、
羨ましい反面、
ちょっとピキっと来たのである。
私は、寝たことはあったかもしれないけど、楽器が演奏されてる時には、
絶対に声を出したりはしなかった。
怒られるからと言うより、音楽はそのくらい神聖なものだと、
3、4歳くらいの時からマジに感じてたのである。
ぜひ子供たちは(大人もね)鼻を擤んでからコンサートに望んで欲しい。
頼むぜ!

☆ 春の子の鼻啜りつつ笑いけり