自転車世界

しごとしごと。せっせと仕事。
そして、夕暮れになったら自転車乗りに行こう。
犬をどんどん追い越して。
自転車の速さでの世界は、
ベンチに座っている老人の眉間の皺も、
22歳の深い胸間の縦線も、
カートに一杯の缶カラを乗せた男の脇間の汗も、
一瞬の絵として目に焼き付くばかりで、
通り過ぎてゆき、
二度は振返らない。

海辺には、バイオリンを弾いている人がいる。
二人がくっついて一つになった影もある。
輪ができるくらいの人数の人たちもいる。
ただ、一人で座っている人もいる。
それをさっと見渡して、その頃にはもうすっかり日が暮れる。
そしたら、ぺかぺか点滅するライトを灯して、風に姿を隠して帰ってくればいいさ。

朝顔日記:50日目:水たっぷりあげる。変化待つ。

☆ 自転車で駆け抜けるなり夜の秋