この世界に生まれてよかった。

友達と軽くお茶などしていたら、うちの近所を聖火が通るというので、ついつい追いかけてしまった。
聖火はウチのすぐ前を通過。その後、期間限定でVに登場したトラムに乗り、グランビルアイランドへと向かい、
そこから今度はボートに乗って、ダウンタウンへ。そして街中を通過して、最終地点へと到着。

これ、距離にしたら、結構長いのだけれど、聖火の後を追いかけて行くのではなくて、チラリと聖火を見かけたら次のビューポイントに移動、という方式で要所要所で目撃したら、結構簡単に追いかけることができて面白かった。特に計画的にやったのではないのだれど、やはりこういう時にVをよく知っているのは役に立つ。
「あっちまでいくには、大体20分くらいかかるだろうから、こっちの橋の上に移動すればバッチリ見えるはず」とか「ここで近道してあっちの角で待ち伏せる」などいろいろな技が出て、ほとんど完璧に近い聖火追跡。手持ちのカメラで動画を取りまくったので、いつかお見せします。
もしもう一度聖火リレーがあったら、完璧なビューポイントをお知らせできそうなのだけれど、これまた一回きりのイベントであります。

聖火を追いかけて行くってのは、村祭りの山車だの神輿だのを追いかけて行く感覚によく似ている。神輿と一緒に人の波も移動し、街のいろんな場所を巡ってゆく。とてもシンプルなイベントなのだけれど、普段からよく知っている街のいろんなところが「ハレ」の祭り空間に変わって、聖火とともにその祭り空間の中に溶け込むことで、なんだかVと今までよりも仲良くなれたような気がした。Vに住んでもう7年目になろうとしてるんだものね。いつの間にか、Vの裏道や抜け道、いろんな顔とお馴染みになっていて、なんだか嬉しかった。

その後、パビリオンの一つを訪問。本物のメダルを見せてもらった。デカい。重そう。雪原みたいななだらかなウェーブがついててキレイ。ただそれを見るのに1時間半くらい並んだかも。途中でお腹が空いて、ぶっ倒れそうになった。観客の方もなかなか体力がいるオリンピックなのである。

開会式は、ウチから徒歩10分くらいのところでやっていたのだけれど、普通に家のテレビで見た。シンプルで、こぢんまりとしていて、優しくて、この国らしさがよく出てた開会式でした。最後、車で聖火を移動するところなんか、警察官の姿もそれほど見えず、ファンが簡単に車に接近できちゃうので、大丈夫なのかなあとこっちが心配になっちゃうくらい暢気なところも、この国らしい。いつも歩き回っているVの町並みがテレビで世界中に放映されてるって変なカンジで、なんだか不思議の国(鏡の国)に迷い込んだみたいな一日だった。

オリンピックの開会式で一番好きなのは、実は選手が入場してくるところ。世界にはいろんな国があって、いろいろな人がいて、それぞれにいろんな色合いがあって、そのいろんな色彩キャラクターを見ているだけで楽しくなる。ああ、この国も面白そう。この人たちも素敵。この文化も知ってみたい。世界ってホントにおもろいところだなあ。出会ってみたい。そう、いろんな人にもっともっと出会いたいなあ、この世界に生まれてよかったなあ、なんて、そんなことを今更ながらじわじわ感じて、やたらわくわくしてしまったのでした。


最後になったけれど、亡くなられたグルジア選手に黙祷。あの若者がどんなに胸を膨らませてVにやってきたのだろうと思うと、心が痛む。