非現実の中の現実

火曜日割引デーを利用して、『アバター』観て来た。3Dバージョン。こんなペラペラの眼鏡で本当に飛び出るのー、とか言っていたら、いきなりものすごく飛び出て思わず椅子から2センチくらい飛び上がりそうになった。

確かにグラフィックの完成度はすごい。すばらしい。ストーリーは、直球ハリウッド。とっても分かりやすくて、ちょっとクリシェ
なかなかいいな、と思う瞬間には、あ、これ、どこかで前に観たことあるような...。あ、そうだ。『風の谷のナウシカ』と『もののけ姫』の中のシーン&プロットに似ているのだな。うーん、四半世紀も前に既にこれをやっていた宮崎駿は偉大だなあ、などと全然関係ないところにカンドーしながら、結構楽しんで観ていた...

...そう、途中までは、結構わくわくしつつ納得しつつ観ていたのだけれど、最後の方になって、やっぱり結局ものすごい派手な戦闘シーンになり、ものすごく残酷な絵面で命が散って行く様(特に人間部隊のひとびと)が執拗に描かれて行くので、やっぱりちょっと「あーあ」という気分になった。これがハリウッド映画の限界か。ナウシカにも戦闘シーンはあったはずだけれど、人の命が無駄にされた、という印象はあんまりなかったような気がするのだが。リアル過ぎるから、尚更気になるのか。やっぱりここで戦闘シーンを派手に入れとかないと、お金が儲からないんだろうな。それとも、「これが世界の現実ですよ」、ということなんだろうか。

それでも、私はやっぱり人の命が次々と軽々と奪われてゆく映像を映画館で観たくないし、そういう映像を作りたくもない。それは、現実に目を背けるということではなくて、現実の先にある(奥にある)ものをむしろ見たいから。そういう意味では、『アバター』は超現実を描いているようで、とっても現実な映画なのかもしれないな、とフと思った。ファンタジーは、お金儲けも、観客の安易な期待も、現実の世界の悲惨さも、超える力を本当は持っているはずだから。

風の谷のナウシカ [DVD]

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もののけ姫 [DVD]

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