夏休みの宿題は英語(出欠カード付き)です

もう随分長い間日本の外に住んでいる。それなのに、この間一度も英語学校に通ったり、本格的に英語を勉強し直そうという気持ちになったことがなかった。F犬街にいた時には、オランダ語のクラスに結構長い間通っていた。でも真剣度が足りなかったのか、それともプレッシャーが大きすぎたのか、オランダ語は思った程上達しなかった。初級クラスから初めて、中級の上くらいまではいったような気がするけど、街中で使おうと思うと「これいくら?」とか「ハム200グラムちょうだい」とか「すごくおいしいねえ」くらいの会話しかできなかった。でも、今でもオランダ語を見ると、ちょっと読める。オランダ語は母音を伸ばすところで母音部分のアルファベットを2つ書くという方式なので、ストリートを意味するstraatとか、ネームを意味するnaamとか、分を意味するminuutとか、なんか最初は目が変になりそうだった。F犬街に到着したばかりの頃は、街中の看板のaaとかuuとかeeのチカチカが気になって、別の惑星に迷い込んだ宇宙人の気分だったなあ。

オランダ語が上達しなかった理由の一つは、F犬街の住人のほとんどが英語を喋るという環境にもあった。その当時、私の英語力はかなりいい加減なものだったんだけど、それでもオランダ語のaaとかuuとかいうのに比べたら、英語はものすごく馴染みのある「姿かたち」をしてた。街で英語を見かけると、なんかホっとしたよ。というわけで、結局私は英語に頼ってF犬街での日々を送ってしまった。英語ネイティブの人は周りには少なくて、ほとんど全員が自分にとっての「外国語」で話している状態だったので、語彙は簡単だし、文法は間違ってても大丈夫だし、お互いの英語力に優しいし、会話のスピードが遅かったので楽だったんだ。でも、そのまんまV市にやってきた私はちょっと驚いた。こっちはネイティブの人が多い(ネイティブじゃない人もたくさんいるけど)ので、話すスピードが一般的に早いし、語彙は複雑だし、かっちょよく省略しちゃったりするし、いろんな意味で情け容赦ない。でもまあ、なんとかなるだろう、と特に勉強もせず、F犬街英語をベースにしつつ、聞き取り能力もテレビなんか見まくっているうちにだいぶついて、かろうじて今日までなんとか生き延びて来た。

でもね。なぜかこの頃、もう一度英語を磨いてみようかなあという気になって来た。日々感じるこの「英語の穴」みたいなのを埋めたい。V市の人々と話をしていて「えっ、何?」と発音不明瞭のために聞き返される回数を減らしたい。さてどうするか。語学学校が辻辻にあるV市だけど、今更学校に入って勉強し直すという若さもなければ資金もない。ここは一つ、巷の英語学習教材などを使っての自学自習をやってみようか。上達度を試すべき実習フィールドは、家を一歩出ればそこら中にあるしさ。今まで英語検定なんてのも受けてみたいなんて一度も思ったことがなかったんだけど、そういうテストなんかである程度自分の力をチェックするのも悪くないな、などという気持ちに珍しくなってきた。なんだか英語に燃えて来た、この感じ。ちょっと熱いぜ。

機が熟したってことか。もう避けられないということか。英語を磨こうなどという気持ちがどっからか降って来たのは、英語世界でいよいよ本腰を据えて勝負しなけりゃならないとこまで来ちゃったということでもある。厳しい現実が目の前に迫って来ているのだ。いやん。やめて〜。いや、目をそらしちゃダメっ! 見るのよ、見つめるのよ、自分の生々しい現実。キャーッ。

...と、考えすぎるとプレッシャーがのしかかって頭痛がしそうなのだが、ま、あんまり深刻になりすぎずに、「なつやすみの宿題」気分で久々に英語を「勉強」しちゃおっかな〜。(スキップ)

自分を実験台にして、錆びや汚れをどこまで削り落とせるのか、欠けてるところはちゅーッと何か注入したら穴が埋まるのか、ザラザラのボコボコのところを磨くと、つるつるのすべすべにすることは可能なのかをどこまでも実験。英語で口喧嘩(品の良い言い方ではこれをディベートともいふ)に勝つ日は来るのか、その闘志を心に秘め...。(あちち)

毎日ハンコを押して、皆勤賞だと消しゴムもらえる「ラジオ体操出欠カード」英語勉強版みたいなのでも作ってみよっかな。そうやって、子供騙しのエサをぶら下げないとモチベーションが上がらないってのが笑っちゃうけど、さ。(いよいよ夏だねえ)