空間移動実験中

V市における日常は、なんというか、ボーっとしているうちに一日が過ぎるパターンが多い。そもそも街自体がなんとなくボーっとしているのだが、それに輪をかけて自分自身がとりとめもなくぼおおーっとしている。出勤しなければならない職場があるわけでもなく、あちらからこちらへと友達の約束のハシゴをするでもなく、電話もかかって来なければ、メールの一通も来ないなんていう日もよくある。

前はこのボーっとした日常に完全に呑み込まれ、冬眠状態に陥ったり、ほとんど生きてるのか死んでるのか分からないような日々を送っていたこともあった。しかし、最近、これではイカンのではないか、と真剣に考えるようになった。

天気がいいのだから、とにかく一日に一度は外に出た方が良いのではないか。今すぐにはお座敷がかかっていなくても、毎日何がしか手を動かしてモノを作った方がいいんじゃないか。パソコンの前から離れる時間を作った方がいいんじゃないか。--- 書いてみるとどれも当たり前のことなのだが、こんな当たり前のことすらできないような驚異的な怠惰に呑み込まれた時間がかつてあったことを今告白する。それが単なる怠惰であったのか、それとも精神的なダメージの所為であったかはともかく、ようやく陽の当たる場所にのこのこっと出て来られるようになって、あら太陽が眩しいわ、どうしましょう、何をしましょう、あわあわあわ、という今日この頃なのである。

それにしても、値札のつけにくいものをごそごそと生産している自営業の身としては、一日の計画というのがなかなか立てにくい。一日中ラボに籠って作業しててもいいわけだが、人にほとんど会わないせいもあって、どうも一日にメリハリがなくなってしまう。そしてこれを続けていると、日陰の花が萎れるように、だんだんとエネルギーレベルが低下して行くということに最近気づいたのである! 

何とかしなければ。このまま枯れてなるものか。そこで考えたのが「空間移動実験」。自分で計画を建てて、何時にあそこ、何時にここという具合にあちこち動き回って仕事するという実験的方法である。ははは。いつものことながら、人間、暇だと変なことを思いつくものだなあ。でも、なかなか冴えてるなあ。えっへん。紙と鉛筆があれば、茶店でも結構仕事できるしなあ。と、パソコン捨てて外へ出た。

今日は朝からラボ→茶店→ラボ→V図書館→家と移動。V図書館までは徒歩20〜30分かかるので、この空間移動により1時間のウォーキングもできて一石二鳥。同時に英語学習の教材をipodで聞いているので、実は一石三鳥。空間を動き回ると、移動に時間がかかって効率が悪そうに見えるけど、実際には別の空間に移ることで気分がリフレッシュされ、かえって集中して仕事ができるような気がした。よしっ。しかも、茶店や図書館は、直接話をするわけでなくとも「人」がいるので、独りでスタジオ作業しているのよりは気持ちが晴れる。他の人のエネルギーって、人間が生きて行く上で絶対必要だよなあ...人のエネルギーを吸収に出掛ける黒い影。ふふふふふ。チューッ。吸血鬼か、私は。

というわけで、空間移動計画初日は大成功。明日からもまた、あちこち縦横移動しながら実験は続く。