巨人出現!

V市には、ランドマークがあんまりない。海の近くのハーバーセンターというところに展望台(タワー)があるけど、東京タワーやエッフェル塔みたいな迫力に欠ける。横浜のマリンタワーにもたぶん負けている。お隣シアトルにはスペースニードルというかなり高いタワーがあって、人気観光地となっているのだが、V市観光でハーバーセンターのタワーらしきものに登る人は悲しいかな少ない。

タワーがないなら、何か有名な建築家の建てた建物なんかはどうか、と見回しても、コレというのがあんまり見当たらない。ううむ、強いて言えばV図書館の建物はちょっと面白いかな。この建物は、前にも書いたけど、ハリウッド近未来SF映画なんかに登場したりする。まあこの他にも、20世紀初頭から1930年代くらいに建てられたなかなかイカす「歴史的建造物」のビルなどもダウンタウン周辺に点在しているのだが、Vといえばコレ!! と声を大にして言えるだけのインパクトは残念ながらないようである。

ならば、野外アートなんかはどうか、と見渡してみるけれど、やはりこれもあんまり見当たらない。いろんなところにポツポツとアートは点在しているのだが、規模の小さいものが多く、大人しくひっそりと佇んでいたりするもんで、アートと知らず見逃している人が多いくらい。V市に来たらコレは見逃すなっ、というような目玉商品が、どうもみつからないんだよなぁ〜。国際的著名建築家に建築を依頼するとか、国際的著名アーティストの作品を税金でドカンと購入するとかっていうのも、場合によっては善し悪しだろうけど、やっぱりなあ、なにか欲しいなV市。観光ベタと言われているN市にも言えることなのだが、何か目玉が欲しいの〜。

と、窓の外をフと見ると、何やらアートオブジェらしきものが、いつの間にか出現しているではないか!

しかも、V市にこれまでなかったくらいのデカさ!

しかも、周囲との調和を全く考えていないような、大胆さと違和感。ロケットの発射台みたいな白い筒状のものが4本、空に向って伸びている(そのうち、端の一本だけ短い)。

うーむ、やるなV市。オリンピックに向けて、いよいよアート攻めを開始したか。

と思って、目を凝らしてよく見ると。あらら。あれれ。

このオブジェ、空港とダウンタウンをつなぐ新交通網の、建設中の駅付近から突き出てます。どうやら、アートではなく、実用的な排気口かなにからしい。しかし、でかいな、大胆だな、仮設置かな、それともこのまんまここに4本突き出しておくのかしら。ううむ。謎だ。

もしこのまま巨大なの4本突き出しておくのなら、アートにしちゃえばいいのにな。

ともあれ、窓の前に、新たに(勝手に)アート出現しました。名付けて「ジャイアントの手」なんとなく、宮崎駿の映画かなんかに出て来るロボット巨人の掌部分に見えるんです。その掌が指四本を青空に向けている。詩的です。近未来の詩情がそこはかと。これが掌だとすると、巨人はかなりでかいです。たぶんV市のダウンタウン全体くらいのデカさです。しかもこの巨人、C橋の下に挟まっちゃってます。イテテとかいう声が聞こえて来そうです。(あんまり詩的じゃないか...)

と、この巨人の手(勝手にアート)出現により、今日は街がちょっと違って見えます。V市は今日から、巨人が眠る街になるのです(私にとってはね)。楽しいな、ららら。