音のその奥に

バレンタインデーだから、何かしないとなあとか思いつつ、
夜わざわざ船に乗って、対岸のNVまで映画を観に行って来た。
噂の『アーティスト』。
この映画館は、ちょっと場末の、寂しさと怪しさを兼ね備えた館で、その割に音響なんかはしっかりしてるので、たまに行く。
今日は割引デーで、二人で1000円くらいだった。
安過ぎやしないか?

The Artist  (Soundtrack)

The Artist (Soundtrack)

と、浮かれつつ見れば、何やら行列が。
女子がたくさん、もう床になんか座っちゃったりしながら上映を待っている。その映画は『The Vow』とかいうやつで、なんでもキュートな女優男優が出ているラブロマンスらしい。今人気らしいけど、ポスター見ただけで、ちょっと萎えた。

『アーティスト』は、キュートな映画だった。
ここまで言葉を省いても、ぜんぜん平気なんだなあ。
そして最後の方で、音楽もなしの全くの無音になるところがあって、
ああ、これ一度やって欲しかったんだ、と嬉しくなった。
映画を見るといつも音(言葉&音楽)がものすごく気になるので、音のあるなしと戯れたこういう映画は楽しめる。軽いエンターテイメントで、こういうのも悪くない。俳優さんたちもキュートだった。

帰りの船の中は、絡み合うラブラブ二人連れと独りぼんやりする人、独りしかめっつらの人、ホームレスのおじさんなどが入り交じってぽつりぽつり。映画の外の世界も、よく聞いてみれば、仄暗く澄んだ沈黙がその奥に潜んでいた。