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今更言うよなことでもないのだろうけれど、ウディ・アレンって、なんかシェークスピアみたいだなあ...なんて、この映画観ながら思った。

ミドルエイジ・クライシスをここまで軽快な切り口で描いた映画って、他にあるだろうか。とっても端的で、フツーそうな顔をしていて、いやはやこの映画は非常にラディカルで天才的である。

登場人物が頭の中で考えてることと、実際の行動がもう正反対にずれているのは、人間の頭なんてものがただただ誰かに言われたように考えようと頑張っているだけで、本当は何も分かっていないからなのだが、そのような「真実」をここまで正直に言っちゃった人ってのも、あんまりいないように思うのだ。王様は裸だーって、人類全員に向って叫んじゃってる眼鏡をかけた少年ウディ。

この映画を見ると、e.e.cummingsの詩集の121ページが絶対に読みたくなり、ドキドキし、赤面し、自分の中にも隠れている愛すべき愚かさに気づくだろう。いやあ、私もかなりの重度に愚かであって、それも悪くないよなと思わせてくれるこの映画は、ほろ苦くも温かい。